妻のがん体験記【あるあるその6】出費の裏には当然必要なものがある①

2021年11月1日

おはようございます。
月曜日担当のホーリーです。

前回までのお話はこちらから

 

高額療養費から戻ってくるまでの間の自己負担、交通費、その他様々な副作用に対処するための各費用など、積み重なる出費が多いということが日を追うごとに明確になっていきました。

 

それと同時に、出費がかさむということは、それを補える収入が必要不可欠なのだということも、現実問題としてより鮮明になりました。

 

主治医が言っていた、「仕事はそれまで通り、できる限り続けるように」という言葉は、もちろん通院治療が主であることから、仕事もある程度のレベル普通にこなせるだろうという判断からのアドバイスだと思われます。しかしもうひとつ、治療にはある程度の収入の確保が必要だから、仕事は続けるべきだという意味も含まれているのではないかと感じます。

 

どこかの保険会社の営業が、現在のがん治療について語っているのを聞かされたことがあるのですが、その内容に驚きました。

 

「医師は責任を取れないから、患者には仕事を控えるようにと支持するのが当たり前」

 

得意げに語っている彼に対し、いったい何を根拠にそんなことを言っているのだろうと強い疑念を抱いたことは言うまでもありません。エビデンスを尋ねてみたところ、返ってきた答えが「過去の支払い実績から」だと。それが本当に事実としての裏付けになると思っているのでしょうか。ちょっとでもがんという病気に向き合い、治療や患者の実態に目を向けたならば、絶対にあり得ない答えです。

 

恐ろしいのは、保険会社の人間が、というよりも保険会社がこの様な説明を平気でさせてしまっているということでしょうか。がんに深く携わっているはずのこの業界が、この程度の認識でしか物事を語れないというのはどういうことなのか。当然それを教えた上司がいるわけで、それを教えさせたのは会社ですから。看板背負っているわけですもんね。一社員の責任ではないでしょう。

 

結局のところ、がんだけでなく他の病気や障害にせよ、自分には「関係ない」と思っている人たちには、全て「ああそうなんだ」程度でどんな話も成り立ってしまう。当事者(自分のことだけではなく、身内や大切な人も含めて)とならない限り、現実のこととして認識できないことなのかもしれないと、数々の出来事に接し、その度にまざまざと思い知らされます。

 

そしてそれが、収入を確保して行かなければならない人たちから、不当にそれらを奪い取ろうとすることに繋がっていくという事実に、直面させられることとなります。

 

著:乳がんの妻ををもつ、地方公務員

ページトップへ