父のがん闘病記8 ~ガンを抑えることよりも体力の維持を優先する~

2021年8月12日

声優の遠藤章史です。

前回までのお話はこちらから

もう今更どうにもならないのですが、高齢者は特に体力の減退は命取りです。

あくまでも私の憶測なのですが、85歳の父は手術をして膀胱を取らなくてよかったと考えています。えっ?と思われる方が多いでしょう。何せステージ3と4の間にいたのですから。ステージ4になると末期がんと呼ばれ、現在の医療体制では放射線治療と抗ガン剤治療しか残されていません。それ以外の選択肢はないと言っていいでしょう。

父の場合、膀胱の大きなガンを取り除けば、ガンは全て取り去れば安心がやってくると誰もが思うでしょう。私もそう思ってましたし、手術直前で熱を出し、転移が発見されて中止になったことに絶望感がありました。

今振り返ってみると、認知症状が出てきて急に進んでしまったのは、2度目の抗がん剤治療を終えたあとで、体力がガクッと落ちたときです。この時に何が起こったのかです。この時にはすでに幻覚が見えていて、夜の9時半に人形が並んでいるとか、犬がいるとか猫がいるとか、訳わからないことを言い出していました。

池江璃花子さんは白血病で血液のガンにかかりました。当然、抗ガン剤治療をしているでしょう。しかし、彼女が奇跡の復活を遂げ、オリンピックの大会の代表選手に返り咲くという偉業を成し遂げました。もちろんあれだけ実績ある方ですから、高い医療技術を使っていたことはように想像できます。しかし、それよりも、彼女はまだまだ若く、普通の人よりもかなり体力があったという事実は見逃せません。

抗ガン剤は確かに効きます。実際に父もガンは小さくなりました。

しかし、ガン細胞のみを攻撃するわけでは当然ないので、正常な細胞も壊します。そして、体力を奪っていくんです。点滴で打っていくため全身を巡ります。当然、脳にも影響があるのは必然。認知症になってしまったのは、まさにこれが原因だと考えています。高齢者はここを考えなくてはいけません。

いい悪いではなくて、どう使うかです。細身の父の場合なら、抗ガン剤治療は2月の10日間の1回だけにしておけば、そして、手術もせずに、考え方や食事を中心とする生活習慣を変えていけば、車の運転もまだでき父が存在してた気がしてなりません。

高齢者は得意そうですが、若くても体力のない方は、個人的意見ですが、

抗ガン剤はおすすめしません。それよりも、ガンになったというのは、生活習慣を改めるところから病気は改善していくということです。すべての選択は自分次第ですが、治療を受ける前に必ずどういうリスクがあるのかというのは、

確認しておくべきです。これはハッキリいいます。これは皆さんの命に関わる重要なこと。それを主治医にちゃんと聞いて、それから決断をすること。そこがもっとも大事なことだと考えています。

父はこれ以上、抗ガン剤治療を受けていれば、早々に亡くなっていたことでしょう。体力がなくなってしまうと免疫力も落ちますので、病気と戦えなくなります。一時期、ガンが小さくなったとしても、それ同時に正常な細胞も壊していることをお忘れなく。

父にはまだ食欲があります。体重は40キロとかなり低く危険な状態ではあります。高齢なので、ガンが再び進行しても、それほど急激には大きくなることはないでしょう。ガンが活性化するその前に体重を増やし、免疫力をつけ、ガンとともに生きるのがベストの選択ですので、今の入居している施設とうまく連携を取って、まずは45キロを目標に体を作っていきたい。今の父は自分では考えられませんから、私が考えて実行し復活させていこうと思います。

ガンとの共存は可能であると信じています。

ガンを治すのは医者じゃない、患者の免疫力が必要不可欠で、

それには十分な体力が必要なのです。

著:遠藤章史
ナレーションを中心に芸能の仕事をさせていただいています。昨年から自宅録音での納品もしており、朗読、ナレーション、YouTubeやツイッターやブログ、フェイスブックなどのSNSでも発信中。父の膀胱がんが発覚してから様々な意見を取り入れながら思案・行動してます。父は認知症も患っており、排泄の粗相や、夜中と早朝の徘徊、時間に関係なく、人を呼ぶようになり、自宅での介護を断念。ショートステイを繰り返していましたが、現在は老人介護保険施設に入居しております。父の体力の回復、ガンと、どううまく付き合っていかせるかを模索中の毎日です。

ページトップへ