妻のがん体験記【あるあるその11】最終章
2022年3月7日
おはようございます。
月曜日担当のホーリーです。本日が最終章となります。
妻の元気そうな姿を見られたことで、かえって自分が安心して、その日の夜はとてもよく眠れた記憶があります。
乳がん手術の入院期間は短く、大体の場合手術から2日後には退院となります。
懸念していたような大きなダメージもなく、妻も無事退院の運びとなりました。
朝一番で迎えに行こうとしましたが、病院への一本道はやはり渋滞しており、駐車場に車を停められるまで結構な時間が掛かりました。
今日で最後かと、病院の廊下を歩きながら、何となく感慨深い気持ちになっていたりしました。
病室に着くと、身支度をあらかた終えた状態の妻が待っていました。
昨日よりもさらに元気になったように感じられ、やはり内視鏡の時とあまりに経過が違い過ぎて驚きました。
病棟の受付で挨拶をし、会計窓口へ向かいました。しばらく待たされた後、精算を済ませ病院の外に妻と一緒に出た時、特に自分は何もしていないのになぜか何かを乗り越えたような感覚になりました。
駐車場に向かいながら、何か食べたいものがあるか聞いて見たところ、
「ピザ」
ということだったので、とりあえず持ち帰りの出来るピザチェーンに向かうことにしました。
その道すがら、気になっていた洋菓子店があったので、そこでケーキも買いました。
家に帰り、愛犬との涙の再会を果たした後、ピザとケーキの退院祝いを2人でしました。
その時の味は、やはり格別だったといまだに思い出しては語ることがあります。
ようやく日常に戻ることができた。
その時には、単純にそう思っていました。
しかし、実はここからが、さらに長く苦しい闘いの始まりだったのです。
妻は今回の手術で、抗がん剤により全く見当たらないレベルになっていた、がん細胞のあったであろう箇所を部分切除で取り除きました。
そこからさらに再発の可能性をなくすため、術後治療として選ばれたのが、
『放射線治療』と『術後抗がん剤治療』でした。
放射線治療は、照射時間は3分くらいのものなのですが、平日連続25日の通院が必要です。病院までの道のりがバス2本を乗り継がなければならないため、かなりの負担となります。思ったより元気とはいえ、やはり体力的にはかなり落ちているわけで、長時間の移動だけでも以前とは比にならないほど消耗してしまうのです。
また、術後の抗がん剤は分子標的治療だけとはいえ、やはりそのダメージは体に蓄積していきます。
何より、以前も触れましたが、術前治療に使用したパクリタキセルという抗がん剤の、『痺れ』という後遺症が大変厄介で、いまだに苦しめられているのです。
この話はまた、機会がありましたら。
とりあえず、私の体験記は、ひとまず終了とさせていただきます。
今までお付き合いいただき、ありがとうございました。
著:ホーリー 乳がんの妻を持つ地方公務員