妻のがん体験記【あるあるその10】手術後
2022年2月28日
月曜日担当のホーリーです。
翌日、昼前に再び病院を訪れたところ、妻はまだ寝ていました。
どうやら痛みであまり眠れなかったらしく、主治医に痛み止めを処方してもらい、実際眠りについたのは朝方だったようです。
起こすのも忍びないのでそのままにしておこうかと思いましたが、気配に気付いた妻が目を覚まし、ベッドの上で体を起こしました。具合を聞き、そういえばせっかくカードも買ったしということでテレビをつけ、かといって観るでもなくただ他愛のない話をしながら過ごしました。
余談ですが、病室のテレビは勝手には観られず、受付の付近にテレビカードというものの自動販売機があり、それを購入してテレビに差し込んで料金を払う仕組みです。1枚500円くらいで、何時間分だったかまでは忘れましたが、確か余った分は退院の精算時に払い戻されたと思います。もともと、普段家でもあまりテレビを観ない妻なので、入院期間を考えても1枚で充分ということで、先に買っておいたのです。
そんなこんなしていると、どうやら昼食の配膳の時間になったらしく、妻の前にも食事が運ばれてきました。
うどんがメインで、正直あまり美味しそうとは思えませんでしたが、まあ病院食なんてそんなもんかなどと考えていました。
と、そういえば自分も腹が減ったなと、そこでようやく気づき、売店で何かパンでも買ってこようと思い立ち妻に告げました。
「私も行く」
どうやら自分の前に置かれたうどんを見て、これだけでは足りないと思ったようです。朝まで痛みで眠れず、朝食も摂り損ねていたため、相当な空腹感が湧き上がってきたようで。
まだ足元がおぼつかない妻を支えながら、一緒に売店まで行き、それぞれ食べたいパンを選びました。妻は、コーヒークリームの入った菓子パンを選んでいました。病室に戻り、うどんをぺろりと平げた後、コーヒークリーム入りのパンを嬉しそうに食べている姿を見て、その時本当に、久しぶりに心から笑えたような気がしました。
そこからも妻の『快進撃』は止まらず、今度は食後のデザートがほしいと言い出しました。
クリームソーダが飲みたい、食堂に行く、と。
いやいや、さすがにまずいんじゃない?入院着で食堂に来ている人なんていないと思うよと、最初のうちは止めていました。でも結局、そこまで元気になったことが嬉しくて、最終的には
「まあ、いいか!」
とまた一緒に向かっていました。
食堂に着き、入り口前のショーケースを覗くと、中に並んだ食品サンプルの年季の入り方がすご過ぎて、クリームソーダが不思議な色の液体になっていました。
「これって何味?」
などとケチをつけたりしながらも、予定通り2人ともクリームソーダを頼み、ゆっくり楽しみながら味わいました。
著:ホーリー 乳がんの妻を持つ地方公務員
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下澤純子