妻のがん体験記【あるあるその9】手術当日①

2022年2月7日

こんにちは。
月曜日担当のホーリーです。

前回までのお話はこちらから

 

そうこうしているうちに、手術の日はあっという間にやってきました。

 

情けない話、前の日は緊張してろくに眠れず、何度も寝返りを打ち続けながらいろいろな思いが頭の中で浮かんでは消え、それでも閉じたままにしていた瞼の向こう側が徐々に明るくなり始めたのを感じた時、

 

「ああ、朝か」

 

と、何か観念するような気持ちになったことを覚えています。

 

のろのろと身支度を整え、正直その日朝食を採ったかどうかも記憶にありません。とにかく時間に遅れてはいけないからと、不安げにこちらを見ている犬たちに話しかけながら、その実自分の不安を打ち消そうと必死だったような気がします。

 

そして戸締りを確認し、車のエンジンを掛け、絶対に事故に遭ってはいけないなと、一度自分を戒めるようなことを考えてからハンドルを握り、病院へと向かいました。

 

結構早めの到着でしたが、駐車場はすでにあらかた埋まりつつある状況で、病院の入口へは結構離れた位置に車を止めることになりました。

 

病院は山の斜面に沿うようなかたちで建てられており、何箇所かある駐車場のうち私が止めたのはその斜面をそのまま舗装したような形状をしていました。

 

傾いた場所に車を止め、ドアが大きく開いてしまわないよう気を付けながら車から降りました。重い足を引きづるような気持ちで、下る道をゆっくりと歩き、病院の入り口から妻のいる病棟に向かいました。

 

病棟の受付で名前を告げると、待合室に案内されました。といっても、病室に向かう途中にある、本などが置いてある休憩スペースみたいな場所で、手術の間はそこで待たされるのだということが分かりました。

 

案内されそこに向かうと、すでに他の患者の家族と思われる方たちが数名座っていました。その日、妻を含め3名が手術を受ける予定で、順番的に妻は2番目ということでした。

 

順番ということは、前の手術が時間的に押せば、その後の手術の時間も当然後ろ倒しになります。手術の説明の際に聞いた時は、そんな流れ作業みたいな感じなの?と、不謹慎にも思ってしまいました。それだけ、がん患者は多く、それだけの数をこなしてもなお追いつかないくらいの患者が次から次へと現れるのだということが、今となってはよく分かります。2人に1人というのは、本当のことなのだなということを、この様な状況を通じて嫌でも思い知らされました。

 

著:乳がんの妻を持つ地方公務員

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