妻のがん体験記【あるあるその8】~日に日に不安が大きくなる③
2022年1月31日
こんにちは。月曜日担当のホーリーです。
その診察の他に、翌日の手術のための準備ももちろん沢山ありました。
確認事項や誓約書の記入、それに、切除箇所のマーキングというものもありました。マジック(恐らく油性の)で、患部付近に直接書き込まれるのです。
最初見せられた時にはちょっとびっくりしました。医療ドラマでも見たことありませんでしたし、何せ、言い方が正しいのかは分かりませんが、『切り取り線』を書かれているわけですから。
私はこの時に初めて知ったのですが、これは普通のことのようです。他のがん患者の方のブログなどを拝見すると、やはり同じような場面が出てきました。
もうひとつ、これは未だに妻の中のトラウマになっていることなのですが。
温存術では、患部の切除の他に、転移の有無を調べるために脇のリンパ節の一部を切り取るということが行われます。センチネルリンパ節生検というそうです。
ひと昔前は、乳がんと診断を受けると、必ず腋窩リンパ節郭清というものが行われていました。国立がん研究センターのがん情報サービスの記述によると、がん細胞はリンパ節を通って全身に広がっていく性質があるため、がんが転移している可能性がある部分を取り除いて、再発を防ぐことを目的としていたそうです。ただ、この方法だと、後遺症や合併症など、患者にとっての術後の負担に繋がってしまう可能性があります。
センチネルリンパ節は、乳がん細胞が一番最初に到達するリンパ節とされていて、これを発見して摘出し、転移の有無を調べることがセンチネルリンパ節生検だそうです。この方法で最初の到達点にがんがないと分かれば、それ以外の転移もないと考えられるので、腋窩リンパ節郭清を省略できるのです。うちの妻の場合は、術後の放射線の照射も行うことで、さらに再発の可能性を潰すという選択もされていました。
では、そのセンチネルリンパ節生検の方法はということなのですが。
センチネルリンパ節を探し摘出するためには、目印が必要になります。そのために、微かな放射線を発する物質をリンパ管を通して送るのです。
どう送るのかというと、腫瘍の付近、あるいは乳輪に、注射をするのです。
これが、とんでもなく痛いらしく。
「あんな痛い思いはしたことがない!」
「あれだけは二度と嫌!」
と、今でもことあるごとに思い出しては身震いするのです。
他の人に比べて、かなり我慢強い妻がこれほど言うのですから、余程のことなのだなあとしみじみ思いました。
著:ホーリー 乳がんの妻を持つ地方公務員