パパの、がんと仕事・子育て奮闘記17 ~マスクして日常生活に戻る~
2022年6月28日
こんにちは。
火曜日担当、ピュアスマイルスタジオの理事の長尾です。
2014年4月3日 自宅にて
今日久しぶりにカメラマンの君さんがうちに遊びに来た。私が最近買ったCanon EOS 5DmarkⅢの動画や写真の話をしたのち、母の手料理とお刺身の食事をしながら巨人対DeNAの試合を観戦。実はこの話題がほとんどだったかも。シーソーゲームで野球部の龍と君さんが色々話していた。次回は勉強の話を宜しくお願いします。
私の顔の湿疹はだいぶ良くなって来たけれどまだお見せするような顔ではないので写真ではマスクマンでした。痛み止めの薬を飲んで食事を半分食べられた。
病院で処方された栄養ドリンクのエンシュアH 1.5バナナ味を飲んで体力をつけています。
2014年4月6日
今日はNHK児童合唱団の発表会の撮影を頼まれたので朝から渋谷に行く。前回も撮影した場所で指導者の先生や指揮者の先生方も同じ。しかしやっぱり上手い。日本で一番上手いのではと思うほど。響きが違う。アフリカのリズムを生かした曲など楽しめるものが多かったが、その中に大地讚頌があった。
中学の合唱コンクールの定番曲だが、かなりテンポがゆっくりで、強弱がしっかりついていて聞き応え満点。今年の合唱コンクールの指導に役立てたい。
N児の構成は男子の割合が3/1ぐらいだが混声4部合唱をしっかりと響かせて歌い切った。
撮影に関してはこの曲はもう20年くらい教えているので次はどのパートが主旋律かはわかっているので先を見据えてフレームを切ることができた。他の曲は新曲がほとんど。マルチカメラで私は信頼していただいてお任せにしていただいているけれど難しい。
今回私は1つのカメラを持って来てといわれていたけれど先日買ったCanonのEOS 5DmarkⅢを持って行って三脚に取り付けてバックアップも兼ねて広い絵の動画撮影もする。
動画が1回撮影で30分しか撮れないので、曲間などのタイミングで止めて、もう一度レックボタンを押し直す必要がある。絵は綺麗だけどやっぱりメインカメラとしてズームしたりパンしたりなどの収録は難しく音楽の長いライブ収録には向かないと思った。
治療は2週間を切った。食事が辛く撮影の時出して頂いた美味しそうなお弁当も半分も食べられなかった。治療中の方々はこれに耐えたんだなあと思うともう一踏ん張りです。
2014年4月18日
ご報告
今日放射線治療が終了。今回の全ての治療は無事終了。
喉と首に33回の放射線治療と治療効果を高めるため(10%の効果が期待される)アビタックスという大腸がんの為に作られた抗がん剤が頭頚部のがんに効くことがわかり、併用治療が今日終了。
後は経過観察で通院するだけです。放射線治療は一番最後が最も身体にダメージを与えているので、終わったらすぐに元に戻るのではなくタイムラグがある。
アビタックスはシスプラチンという強い抗がん剤に比べて身体には優しい。ただ湿疹が出るという副作用があり鼻と口角、アゴに湿疹が残っている。先生曰く効いている証拠で、治療終了から1週間から2週間は残るけれどその後は劇的に良くなって行くと言われた。
放射線が舌にもどうしても当たっていた為に味覚がほぼなく、口の中が身体の自己防御機能が働いて、白いネバネバしたものに覆われている。粘膜炎の一種と思われる。ということで通常の食事はまだ1ヶ月以上無理と思われる。処方された栄養ドリンクで何とか乗り越えます。
気をかけて頂いた皆さん、仕事はもうしていますが身体の完全復活はもうすぐです。無理せず頑張ります。ありがとうございます。
PS
大橋巨泉さんがほぼ同じ時期に同じ病気になり最近復活しました。
以上が当時の様子です。
退院後は放射線で週5日通院しながら無理のない範囲の撮影の仕事を開始しました。
サブタイトルを「~マスクして通常生活に戻る~」としましたが、この当時はマスクは病気の人以外はしていませんでした。5年後にコロナが蔓延してマスクを強制させられる世の中になるとは考えられませんでした。
仕事について
撮影は、地元のニュース番組をできる範囲でやり始めました。長時間の撮影や、体力がいるものはできるだけ避けるように考慮していただき、他のカメラマンにもお願いして仕事は順調に進みました。
NHK児童合唱団の演奏などマルチカメラ撮影では、私を誘ってくれた撮影・編集の方は私の状況は分かっているので私は2階席の定点で座りながらの撮影でしたので問題なく撮影が出来ました。
音楽教師の仕事に関しては、3月末と4月はじめまでは春休みで授業がなく、また授業開始後も特別時間割になることが多く4月の第2週過ぎからということでした。授業初日では生徒に実情を話した上で「帽子とマスクをしたあやしいおじさんですが、頑張りますのでよろしくおねがいします」と伝えたら「きよみん、お帰りー」という声もあがりリスタートとなりました。
日常生活について
体力は8割くらい戻った感覚です。食事は食欲がわかず、通常の半分くらいの量でした。無理して食べようとしても喉を通りませんでした。私は前からご飯など必ずお代わりをする大食漢でしたが、食べられない人の気持ちがわかる貴重な体験でした。(前向きに捉えました)
食事の量が減ると体力も落ちて免疫力も下がるという負のスパイラルに陥ります。そのため処方されたのは、栄養補助食品のエンシュアHというドリンク型のもの。保険適用です。自費だと240円くらいのものです。3割負担だとすると1缶80円程度。いちご、コーヒー、バニラ、バナナの4種類で、通常のカロリーの2倍程度入っています。
美味しく味付けされていると思いますが、食欲がありませんので、においにも敏感になっていて4種類とも進んでの飲もうという気にはなりません。冷蔵庫でキンキンに冷やして、飲むときは一気に流し込むという感じです。
バナナ好きなので味も良くわかりませんので美味しいと思い込んで、バナナ味を多めに購入しました。購入は、処方箋を持ってがん研内の医薬品販売所で購入しました。味の指定はできました。
マスクや、ガーゼ、皮膚の湿疹やただれなど肌に効くクリームなどもいろいろ購入しました。
お酒は7年間一滴も飲みませんでした。たばこは20代前半に少し吸っていましたが、それ以降吸っていません。放射線科の主治医からタバコはがんになるリスクは高く、お酒ものどに刺激があると言われて辞められるならやめた方が良いと言われていました。頭頚部部長の主治医は、お酒は少しなら大丈夫と言われていましたが、がんを直すことを優先してお酒は飲みませんでした。
化学療法の治療をすると髪の毛は抜けてまばらになります。昨年から髪の毛は定期的に息子にバリカンで5分くらいに刈り込んでいました。主治医が言った通り、アービタックスの治療を開始すると顔の湿疹はかなりひどくなりました。
この時の写真は載せられないので少し落ち着いてからの写真を次回ご紹介しようと思います。
体力改善のための取り組み
体力を回復させるために私がやったことは、ラジオ体操で身体をリフレッシュすること。そして散歩です。
うちの近所にはコナミのスポーツセンターがありますが、私はその前にあった日産スポーツプラザでずっと会員で、娘の綾音もプールと体操のスクールに入っていました。私はがんに罹患する少し前から忙しくてスポーツプラザに通っていなかったのでもったいなくて辞めてしまいました。
スポーツプラザでやっていたことの多くはランニングマシンを使ったり、自転車を使った運動でした。これなら自分でお金を掛けずやれるので自分でやることにしました。
私のマンションは15階建てですが、1階から15階までを時間をあけてゆっくり2往復くらいしていました。これはがん研でも同様でした。
湿疹がひどいのでマスクをして一人で歩いているので、外を歩いていてもし倒れたら大変なのと、雨でも続けられるので家の階段にしました。
なお、運動は疲れたらやめてエレベーターで戻れば大丈夫なので悲壮感なく楽しく続けることを目標にしました。縄跳びは少しやりましたが、かなりの運動量でマスクをすると辛く続かないのでやめました。
無理をすると続きません。出来ないといやになるので出来る範囲からやることにしました。何でも同じですね。
次回の話はこちら「パパの、がんと仕事・子育て奮闘記18 ~マスクはずして本当の日常生活へ~」
著:長尾聖生(きよみ) NPO法人ピュアスマイルスタジオ理事
私は21歳と19歳の大学生の子供をもつ、がん経験者のシングルパパです。私は東京都の公立中学校で非常勤講師として音楽の教師を30年以上続けて、株式会社オール・コレクトを作りTV番組や音楽関係の撮影・編集の仕事も同じく続けています。マライア・キャリーからオーケストラ撮影・TV撮影・CM・YouTube配信など守備範囲は広範!