父の闘病記7 ~危ないと思ったものは撤去しましょう~

声優の遠藤章史です。

前回までのお話はこちらから

3月13日。介護ベッドが届く日です。その日の午後。

私は自分の部屋で作業をしていて、母は父に背を向けて電話をしていました。

父は自分の椅子に座ってテレビを見ていたと思います。

コーヒー好きの父は自分でコーヒーを入れようとブルックスの注ぐだけのコーヒーをセットしお湯を入れにポットに歩いていきました。

 

しかし、みんなが目を離したこの非常に間の悪いタイミングで事故は起こりました。あろうことか、よろけて後に倒れてしまったのです。

しかも運が悪いことに、寒がりの父のためにストーブを付けていました。

それに加え、やかんをかけていました。最悪なことに中身は沸騰していました。

 

後に倒れるときに、ストーブの方へ倒れてしまい、右半身にまともに熱湯をかぶってしまったのです。

 

急いでかけつけたのですが、ストーブの横に父が倒れていて、

「俺はもうダメだ」と泣き言を言ってます。「足の筋力が弱っているだけだよ。ガンは小さくなっているし、いい方向に向かっているよ」と私は言いながら、かなり動揺していました。最初はなにが起きたか状況把握をしました。しかし、冷静にはなりきれていなかった。熱湯をかぶったということで、上半身の服を脱がせたところ、もうすでにこの時に皮がめくれ始めていました。

濡れタオルを母に用意してもらって、右腕だけを冷やしていました。

しかし、熱湯をかぶったのです。そんなので間に合うはずはなかった。

今考えれば、すぐにお風呂場に行って全部脱がせて、やけどしたところに冷たいシャワーを浴びせ続ければ大事にはならなかったかもしれません。

 

そこで判断を誤ったのは、病院に電話しまくっていたこと。

のんきな対応で自分のところの患者かどうか確かめるなどバカな対応をするところもあり、順番待ちですねとか、あっちの病院なら対処してくれるかもとか、

4箇所くらいの病院にと言わせましたが、どこも同じような対応。

ここでようやく救急車を呼ぶしかない時がついたのです。

救急車が到着して父を見てもらい、母と一緒に父を病院へ運んでもらいました。

私は家に残り、介護用ベッドの設置の時間に重なったのと、あとで病院へ父と母を迎えに行くからでした。私が一緒に行ってしまうと、帰りはタクシーで帰ってこなければならなかったので、家に残りました。

 

このとき、私がもっと冷静で、すぐに風呂場で患部に冷水をかけ続け、

体が冷え切らないように、風呂の暖房を入れ、その後、救急車をすぐ呼べば、

重症にはならなかったかもしれません。私の完全な判断ミスでした。

 

こうなったのも、2度目の抗ガン剤治療で、一気に体力を失ったからでありますが、完全な私の判断ミス。そのおかげで父は1週間は毎日、救急車で運ばれた豊岡第一病院の形成外科に通うことになり、毎日、患部を治療しないと治らないほどの重症だったのです。やけどは右腕と右足。どちらも皮膚はめくれて赤く腫れた状態で痛々しかったです。家でも包帯を替えるなど、母も労力を使いました。父本人も痛がっており、4月8日に手術を控えているのに、いま免疫力を落とすと大変なことになる。色んな思いが交錯し後悔の嵐でした。

 

妹には以前、指摘されていました。ストーブを見て「これ危ないね」と言っていたのです。その時は、大丈夫でしょうなんてノンキに考えていた私。

あの時にストーブを片付けておけば、せめてやかんをかけるのをやめておけば、

こんなことにはならなかった。

体力を奪われる、認知症になるということは、想像もできないできないことが起こるんです。ですから、介護者がいる時は、とにかく危険かもしれないと感じたものはすべて撤去しておくことをおすすめします。

 

父がやけどを負ったあの時、私はオーディオブックの仕事を自宅録音でしており、納期を考えるとギリギリで追い込まれていました。その状況で毎日、父を病院に連れて行かねばならないのかという時に、飯能に住む妹から助け舟がありました。都合のつく日は、「私が送り迎えしてあげるよ」というありがたい言葉。こうして妹のおかげで、何とか自分の仕事も納期に間に合わせることができたのでした。いつも協力してくれる身内にも感謝の気持ちでいっぱいです。

著:遠藤章史
ナレーションを中心に芸能の仕事をさせていただいています。昨年から自宅録音での納品もしており、朗読、ナレーション、YouTubeやツイッターやブログ、フェイスブックなどのSNSでも発信中。父の膀胱がんが発覚してから様々な意見を取り入れながら思案・行動してます。父は認知症も患っており、排泄の粗相や、夜中と早朝の徘徊、時間に関係なく、人を呼ぶようになり、自宅での介護を断念。ショートステイを繰り返していましたが、現在は老人介護保険施設に入居しております。父の体力の回復、ガンと、どううまく付き合っていかせるかを模索中の毎日です。

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