体の治療と心のケア
2025年7月27日
こんにちは。
学生ボランティアの松本真依です。
先日ピュアスマイルスタジオを通して、がんピアサポートネットワークかながわ設立記念講演会に参加しました。
がん患者と家族の心の持ち方について、愛媛でのピアサポートの取り組みなど貴重なお話を聞くことができました。
きっとこのボランティアをしていなかったら知らなかっただろうなと思うことばかりで、とても勉強になりました。
精神腫瘍科とは
精神腫瘍科とは、がん患者さんやその家族が感じる心の不安やつらさに対して専門的にサポートする診療科です。
(日本サイコオンコロジー学会登録精神腫瘍科医と検索すると専門医が出てきます。)
私はこの講演会で初めて精神腫瘍科というものがあることを知りました。最初プログラムを見た時は、精神科?腫瘍科?どこを診るお医者さんなのだろうか?と見当もつきませんでした。
生命保険会社アフラックの調査によると、診断後の心の状態の変化(不安や動揺によるストレス等)を感じた人は全体の75.0%。
内容としては治療の事、将来の事、家族の事。
がんが発覚してすぐに前向きになれる人はなかなか居ないと思います。
また、5人に1人の割合で精神疾患などの問題につながることもあるためケアが必要です。
精神腫瘍科とサイコオンコロジーの違い
サイコオンコロジーとは、がんと心の関係を多角的に研究する学問です。
研究者をはじめとした、心理士や看護師、社会学者などが活躍しています。
そしてこの学問の知識を基に精神腫瘍科があり、主に精神科の先生が対応します。

サイコオンコロジー(精神腫瘍学)の普及率
サイコオンコロジーは欧米諸国では普及が進んでおり、特にアメリカやカナダでは標準的なケアとして認知されています。
また米国がん研究所は、「がんケアには心理的社会的支援が必要不可欠」と明言。
しかし世界規模で普及率を見ると、アメリカやカナダ、ヨーロッパでは進んでいるのに対し、日本などアジア諸国では徐々に拡大しているものの、専門医や人員が不足している現状があります。
もし自分ががんになった時、病気に対する心の揺らぎについてしっかりと聞いてくれる場所があると心が軽くなるだろうなと感じました。
家族や友達、治療を行う担当医以外に客観的に自分の話を聞いてくれる人がいることは心強いと思います。
だからこそもっと日本でも精神腫瘍科の認知が広まり、がんによる心の不安を気軽に吐き出せるようになったら、病気に対する不安や周りの人からの偏見などが少しは軽減されていくのではないかと思いました。
カウンセリングの役割
私はがんに関わらず、どんな人にもカウンセリングはとても重要なことだと感じています。
私もスクールカウンセラーさんや保健室の先生のカウンセリングを受けたことがあります。
でもそれは、何かあるから聞いてほしい、アドバイスが欲しいというわけではなく、自分のなんともない話を聞いてくれる人が居る安心感。
雑談をしたり、最近嬉しかったことや楽しみにしていることなどをただ話すだけでも案外スッキリします。そしてたまに愚痴をこぼしたり…(笑)
正直最初はカウンセリングなどに抵抗感がありましたが、私の通っている高校ではカウンセリングがオープンで、受けている人が多い環境だったのが考えの変わるきっかけでした。
アメリカでは心の健康=体の健康という考えが広まっており、失恋をして精神科のカウンセリングを受ける人もいるみたいです。
カウンセリングを受ける=自分を大切にしているという意味合いもあるのだとか。
しかし日本だと、精神科やカウンセリングのハードルが高く感じる人も少なくないと思います。
誰かに話すことが正解ではないけれど、誰かに話すことで安心感が生まれたり不安が解消されることもあると私は感じています。
がんと心のケア
がん患者さんの心の不安が大きいときには精神薬(抗うつ薬、抗不安薬)を使うこともあり、がんの治療と並行していくことで過ごしやすくなる方が多いそうです。
またご講演してくださった先生が、正しい情報を集めることがセルフケアにつながるということ、がん=おできのようなものだから行動を極端に制限する必要はないということをおっしゃってたことが印象に残りました。
今の時代はネットで自分の病名について調べれば、いい情報も見ることができますが、反対に悪い情報も目に入るかもしれません。
そうしたことから焦りや不安につながってしまう恐れがあるため、信頼できる情報をピックアップして見ることが大切だとおっしゃっていました。
信頼できる情報として、学会や公的医療機関が発信しているものは信ぴょう性があるとされています。
私はこの講演会に参加してたくさんの新しいことを知ることができました。
がんになった時の心の揺らぎは人それぞれだと思います。
ですが人それぞれだからこそ、他の方と比較することなく自分の気持ちを正直に吐き出すことが大切だと学びました。
また学びだけではなく、自分の中でどうしたらカウンセリングや精神科のハードルが低くなるのかという問いもできたので、引き続きピュアスマイルスタジオでの活動を通して答えを見つけていきたいと思います。
