「がんだと思われる人に声がかけられないんです‥‥」
2021年8月6日
こんにちは。ピュア・スマイル・スタジオの下澤です。
昨日は、NPO法人ピュア・スマイル・スタジオ設立に向けての理事会がありました。
そこで、出てきた課題があります。
「がんだと思われる人に、声をかけられないんです・・・・」という声がありました。
その時には、即答できなかったのですが、みなさん真剣に私の話を聴こうとしてくれているのが伝わりました。
理事のみなさんです。
「がんだと思われる人に、声をかけられないんです・・・・」
を2年前に私が言われていたら、とても傷ついていたと思います。
でもみなさん、悪気のない善意だということも、この2年で分かってきました。なぜ、善意ががんの人を傷つけてしまうのか。具体的な言葉で伝えていくことが、これからの私の役割なのかもしれません。まずは役員に分かっていただかないと、一緒に活動する意味がなくなってしまいます。
一晩考えてみて、気づいたことをまとめてみます。
「がんだと思われる人に声をかけららない」という時点で、特別な目で見ていませんか?
がんの人は、ジロジロ見られたくないんです。
髪の毛もなくなっていて、帽子をかぶっている。顔もむくんでいるからきっと抗がん剤をやっている。これ、全て思い込みですよね。無意識にでもジロジロ見てしまったから、髪の毛がなくなっていることにも、帽子をかぶっていることにも、顔がむくんでいることにも気づいたはずです。
その上で、「可哀想な人」という、これまた思い込みが生まれてしまうんです。紐解いていくと、だから声をかけられないのではないでしょうか。
その、がんだと思われる人が、自ら「私、がんなの・・・」って言わない場合、その相手には知られたくないのでしょう。
なぜ? 特別な目で見られるのがしんどいからです。
ちなみに、その、がんだと思われる人は、ジロジロ見られていることに気づかないふりをしています。気づいています。
振り返ると、私も苦しかったです。
まだウイッグ前の地毛なのに、頭部をジロジロ見られたり、手術の後に会った人には胸をジロジロ見られたり。でもみんな無意識だったのだと思います。
ジロジロ見るより、「そのウイッグ、めっちゃ似合ってる!」とか、「その帽子かわいい!」とか言われると嬉しいです。
でも、それは、今まで通りに接する!が前提!ここ大事です。
それまで、会釈ぐらいの関係なのに、いきなり「そのウイッグ、めっちゃ似合ってる!」とか、「その帽子かわいい!」は、無意識でもダメ!引きますよ。実はこれも経験ありました。
こうやって、がんの人の“水面下”が生まれてしまうのだということにも気づきました。
その、がんだと思われる人は、想像よりもずっと強い
抗がん剤の副作用は本当にたくさんあり、人によっても違います。また、抗がん剤の種類も多くあります。この抗がん剤と、この抗がん剤の副作用は脱毛する、というように、脱毛しない抗がん剤もあります。
病院では、死ぬ話は一切しません。治すための話しかしないのです。だから、がんの人は、抗がん剤の副作用で髪の毛が抜け始めると「あ~、抗がん剤が、がんをやっつけている!」に置き換えることができます。
それなら余計な心配はしなくていいと思いませんか?
ウイッグ屋さんに行くときに、「これからウイッグの相談に行ってくる!」「そか、今日は寒いから気を付けていってらっしゃい」という、知人とのやり取りがあったことを覚えていますが、間を置くこともなく返信くれて、嬉しかったのを覚えています。
もちろん、外見が変わってしまうことに平気な人なんていません。保険に加入していなければ、治療費の他にウイッグが買えない人だっています。高ければ30万しますから。私の病院にも、ウイッグなしの帽子だけの人はチラホラいましたよ。でも、ウイッグより命が上でしょ!ってことです。
ちなみに外見が変わることって、頭だけではありません。眉毛だって、なくなります。女性が毎日書いている眉毛は、毛があるから書けています。つるつるとなったところには書けません。そこで、がん友が教えてくれたのがオルビスのペン。本当に書けました。まつ毛も抜けますが、ツケマを初めて買った私には上手く装着することができず、諦めました。まつ毛がなくなると、確かに顔がむくんで見えます。
でも、体中の毛が全部なくなるわけですから、肌はめっちゃ綺麗ですよ(毛深いんです 笑)
当時、嬉しかったのが、美容液を紹介してくれた人がいたんです。良かったらこれ使ってみて!って。その一言でいいのではありませんか?
↑ これ、脳天部分が布でできてます。その布に毛がついてます。1万円弱だったので2個買いました。その上に、医療用帽子は高くてかわいくないので、普通のおしゃれ帽子をかぶっています。思いのほか、かわいいと好評でした。なぜか今よりも、かわいいと言われることが多かったです。どうでもいいけど。
自分が言われたら(されたら)どう感じるか?
自分が言われたら(されたら)どう感じるのかを考えられる人であってほしいです。自分も罹患するかもしれないわけです。
私の周りに、がんや、精神疾患の経験者がたくさんいるのは、自分もがんであることが大きいですが、病気の人を特別な目で見たことがないからだと思っています。罹患前と同じ付き合いというか、蔑視する意味も分からないです。
でも、罹患前と全く変わらずに接してくれた人が多く、そんな人たちにはたくさん助けられました。
これからも少しずつ、がんの人と、がん以外の人の、思いのギャップを埋める記事を書いていきます。
病気になるのが普通で、まだの人はラッキーなだけと、白血病に罹患された笠井アナも言っていました。これからのテーマは、病気の人と、元気な人との『情報の共有』なのかもしれません。
ピュアスマイルスタジオ
下澤純子